人間風車

2002/05/28(火)
【森川的仕事の条件】

ある料理人が、よい仕事をする上で一番気をつけていることは?
という質問に対して、
「夫婦げんかをしないこと(笑)」と答えてた。
人間は怒っているとき、
(生理的に塩っ気を求めるので)塩っ気に対して鈍感になり、
料理がいつもより塩っ辛くなってしまうかららしい。
僕らの仕事には、塩っ気に対する敏感さは必要ないけど、
怒っている状態で仕事をするのはヤバイ。
よく、キャラクターが描き手に似るってことがいわれるけど、
同様に、描いているときの気分もキャラクターに乗り移ってしまうからだ。
怒っているときに描いた笑い顔は、
やはりどこか表情がこわばってしまっている。
おばかなアイデア、いっちゃったアイデアも、
そんなときには生まれてこない。
つまり全く仕事にならんのです。
だから、本来的に陽気な気質でなく、
気分の立ち直りも悪いボクは、
仕事を始める前、
気分が悪くなりませんようにと祈るような気持ちになる。
お気に入りのペンがすぐ見つかりますように、
カップ焼きそばにお湯を注ぐ際、
具(ドライキャベツ)を入れ忘れませんように、
CD-Rのシュリンクパックがきれいに破れますように、
MSNメッセンジャーが勝手に落ちませんように
(勝手に落ちたくせにこちらが悪いように言ってくるから)と、
祈るのです。
いい仕事をするためには、もう一つ、必要なことがある。
他の同業者はどうかしらないけど、
あっちの世界(非日常)に行くということだ。
集中するってことと近いのかもしれないけど、
トリップするっていう言い方の方が正確な気がする。
例えば、ぼくにとって、
キャラクターの性格とかそいつが住む世界を考えるということは、
彼らが住む世界に出かけていって、
彼らが動き回る様子を観察して記録する。
ということなのだ。
これはむつかしい。
非常にむつかしい。
野生動物並みに過敏なボクは、他人の気配があるだけで、
あっちにいけない。
だから、まるで盗人のように深夜仕事場に忍び込んで仕事をする。
一人でいれば、すぐに行けるかというとそうもいかない。
ずっとモニターの前にいたのに、とうとう行けなかったということも多い。
どういう環境だと、あっちに行けるのか今もってさっぱりわからない。
だから、仕方がないので、お気に入りのBGMをかけたり、
お茶を入れたり、香をたいたり、
マウスの掃除をしたりといろんな「儀式」をしながら行ける時を待つ。
だいたい1ヶ月に10~20枚くらいCDを買うのも、
そういうわけなんだよ。
(って誰に言い訳しているのか)
だいたい2時間くらいあっちに行けば、なんとか仕事になるんだけど、
行けるまでには、その倍も3倍も準備時間が必要になる。
だから、もうちょいでいける、あるいは行っているときに、
誰かに話しかけられたり、電話がかかってきたりして、
振り出しに戻されるとガックリくる。
んなものだから、
そんなときの電話へは不機嫌な応対をしてしまうことがある。
そして会話は、一気に険悪なムードになる。
そうなると、電話を切った後、振り出しに戻されただけじゃなく、
気分までも悪くなってしまっていて、
もう完全に仕事ができる状態じゃなくなる。
ま、向こうにしてみれば、
あたいがそんなナイーブなんて思いもよらないだろうから、
不可抗力なんですけどねぇ。う~~ん。
森川殺すにゃ、刃物はいらん。深夜に電話をかけりゃいい。ってか。
なんで世の中の多くの人は、
「電話に(出られるのに)出ないことは失礼なこと」と言うのだろうか。

« 小さな力の大きなつながり | | 旅に生きる »