人間風車

2002/07/17(水)
【オスが求めてメスが選ぶ】

生き物の世界っていうか、
有性生殖界では「オスが求めてメスが選ぶ」っていうのが、
セントラルドグマになっている。
メスが選ぶという事情はよくわかる。
ほ乳類のメスでいえば、
卵子の元細胞(卵母細胞)は胎児の段階で一生分作られてしまう
(人間の場合、100万個くらい)。
その後は、卵母細胞は作られない。
胎児のうちに作った卵子を成熟させ、
28日に1個ずつ排出するに過ぎない
(平均すると、生涯でだいたい400個くらいといわれている)。
つまり、卵子は、だいたい20年から40年くらい、
体内に保存されていることになる。
この間に、体内の化学物質やストレスなどの内因や紫外線によって、
卵子内の遺伝子は傷が付くことが多い。
卵子だけで子孫を作ると、
遺伝子にバグを残したままになる危険性が大きくなる。
そこで、精子の遺伝子を使って、
遺伝子の修復を行う(これが有性生殖の意味なのだ)。
精子は成人してから作りだす。
また、精子はだいたい3日くらいの寿命といわれている。
体内に残っていても、賞味期限が過ぎると分解されてしまうか、
強制的に体外に排出されてしまう。
このため、精子の遺伝子に傷がつく可能性は、
卵子のよれよりもうんと小さくなる。
だから、メスがオスの遺伝子を利用して、
子孫の遺伝子の修復をする。
どちらか一方の遺伝子が壊れていても、
もう一方の遺伝子を使えるというわけだ
(両者の遺伝子がたまたま壊れている可能性もあるが、
その可能性はかなり小さい)。
このため、メスは、
より傷の少ない遺伝子(を持つオス)を選ばなくてはいけない。
ところが、遺伝子の善し悪しを直接確認することはできない。
それではどうやって見極めるのか。
よくできたもので、多くの生物において、
遺伝子が優良だと、身体の左右のバランスがいい、
つまり左右の対称性が高いらしい。
すでに蝶々あたりでも、左右の羽のバランスがいいオスのほうが、
パートナーとして選ばれることが多いとのこと。
人間のハンサムなんていうのも、
顔のパーツが左右均等であるってことが
ベースになっっていると思われる。
よく女性が指のきれいな男性が好きという話をきくが、
胎児期の指の発達は生殖器の発達と同じ遺伝子を使っている
(つまり指の発達がいい=生殖器の発達がいい)、
なんてことを本能的に知ってのことなのかもしれない。
ニオイなんてのも、
遺伝子の優良さの何かしらの見極めになっているのかもしれないし、
また逆に、ちび、でぶ、はげといった、
遺伝的トラブルを持ったオスが総じてモテないのも、
こうした事情が影響しているんだろう。
メスは、遺伝的欠陥をもったオスを廃するという消極的な作戦だけでなく、
優秀な遺伝子を持ったオスを積極的に求める作戦も持ち合わせている。
身体が大きい、力が強い、色がきれい、
貢ぎ物が多い(=エサの捕獲能力がある)なんてことが、
遺伝子の優秀さの証となる。
こうしたことは、モテる男の条件と見事なくらい符合している。でしょ?
というわけで、メスは慎重にオスを選ぶ。
さてさて、そんな中、
遺伝子のよし悪しを直接調べられる時代が近づいている。
そんな時代には、オスはいったいどのように選ばれるんだろう。
それはそうと、じゃあ、オスはなんで求めるのか。
この理由はさっぱりわからない。
だれか、あたしの魂の救済の意味を含めて教えてほしいもんだ。

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