さすが、アラン・ケイ、するどい。
今から500年前の中世ヨーロッパにでかけていって、
グーテンベルグが発明した
印刷術を評価することを依頼されたとしよう。
たぶん、われわれは自信を持って、
印刷術は普及しないと断定するにちがいない。
その理由は次のようになる。
第1に、印刷はきわめて高価であるから
写学生の筆写に価格面で太刀打ちできない。
第2に、ほとんどの人が読み書きを知らないのだから、
複製を大量に必要とする市場がない。
第3に、15世紀当時は、
本当に重要な問題は宗教に限られており、
個人のプライベートな内面の思想の問題であったため、
これは印刷物によって伝達できる内容ではない。
それ故に、印刷術は絶対に普及しない。
普通の観察力と判断力を持つ人ならば、
かならずやそう断言したであろう。
「アラン・ケイ」(アスキー、1992年)より
かように、
現在と未来が同じであるという
前提にたったマーケッティングなんて、
未来予測に役に立たない。
そんな例はいっぱいある。
しかし、今の市場にないもの=ダメみたいな論調で
語られる会議は多い。