いつだったか、
綾小路きみまろの特番かなんかで、
彼がデビューするにあたっての
自分の芸を売り込む方ってのがとてもおもしろかった。
遅咲きの彼は、顔が売れていたわけではないので、
テレビやラジオに出演するとか、
雑誌に出るとか、
キャンペーンをするとか、
そういうリッチな方法で売り込めなかった。
そこで彼が考えたのは、
バスガイドさんに自分の話芸が入ったカセットテープを
無料で配るという方法だった。
バスガイドさんは、話疲れたときやネタにこまったときに、
バスの中でこのテープを流したようだ。
これがバスの乗客に受け、
やがてそのおもしろさが、
口コミで世間に広がり、一気に人気が出たそう。
バスの乗客を最初のターゲットにしたあたりも
すばらしいけど、
バスガイドさんに無料で配ったという戦術もすばらしいと思った。
バスガイドさんはそういうアイテムをほしがっているはずだ
とかいうくらいなら思いつくかもしれない。
でもたいがいの場合は、
そこで、彼女らに売ろうと思ってしまう。
そして、
その数があまりに小さいので意味がないと思ってしまう。
てな流れになるだろう。
仮にバスガイドさんには試聴品として配るとして、
バスの乗客には売ろうと思ってしまうだろう。
しかし、バスの中の乗客には観光という大目的があるので、
観光地となんのゆかりもないアイテムなんて
たぶん買わなかっただろう。
そして、売れなかったね→人気がないね。
という流れで決着が付けられてしまっただろう。
それを、
バスガイドさんにも無料、
聞くのもタダにしたのがすばらしい。
かといって、
自分の芸を楽しんでいただければ、お金なんていらない
という素人くさい感覚でなかったのもすばらしい。
認知やプレゼントが種まきだとしたら、
買ってもらうということ(時点)が収穫(時期)となる。
どのタイミングで収穫するかで、収穫量が大きく変わる。
バスガイドに売るというタイミングは
最も収穫が小さかっただろう。
バスの乗客というのは、
収穫は小さめだけど確実性があるといえるかもしれない。
一方、口コミで広がった後というのは、
収穫が一番大きくなる一方、収穫ゼロというリスクもある。
どのタイミングをとるかは難しい問題だけど、
植えてすぐ刈るという戦術が一番辛そうだ。
確実性という名の下に、
1個植えて1個刈る。
蓄えはいっこうに増えず。
そんな自転車操業を余儀なくさせられるからだ。
急な天災が来たらそれでアウトだ。
もっとたくさん実らせてから収穫するというのが、
最終的には一番得をしそうだ。
今、ゲームの世界を見ていると、
すぐ刈れる種ばかりまく、植えてすぐ刈る、
そんな戦術ばかりに見えてしまうのは
気のせいだろうか。