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坂本さんのシオシオですか?





13.「精霊の守り人」

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99.05.6


連休帰省した帰り、満員でチケット取り損ねて電車の待ち時間が2時間近くになってしまった。仕方ないので散歩がてらぶらぶらと駅からほど近い本屋に入った。
駅と俺が通った高校のちょうど中間くらいにある割と大きい本屋で、高校時代は日参したところだ。特筆すべきは児童書と参考書で、質量ともに郊外型の量販店を圧倒している。
ぼやっと児童文学のたなを眺めていて、ふと目に入ったのがこの本、「精霊の守り人」(注1)だった。
結論からいえば、極めて精度の高いファンタジー作品で、「ポスト・トールキン」とか寝言が書かれた帯の翻訳物もそれすら種切れ(注2)の昨今、日の本からこんなものが現れるなんてアラン・ガーナーもビックリである。
偕成社らしい丁寧な本の造りで、挿し絵の雰囲気もぴったりとしている。そう、ハードカバーといっても、大きめの活字にルビありの子供向けのつくりだが、だが!
物語のテンポに読後の満了感、どれを取ってもエース級。しかも主人公は女用心棒(訳アリ30歳)で、大変強くて格好良いんだ。
なんだ、結局ソレか、と思われても今度ばっかは困る。重なりあう「あちら」と「こちら」。異なる価値観と文化。忘れられた祭りと伝承。すべてオリジナルでこれだけの物語世界を紡げる作家はそう多くないんじゃないか。
女性作家で女性が主人公でファンタジーで児童文学と「フェミニズム」系の予感をさせながらしかし、そこにあるのは薄っぺらいイデオロギーではなく、しっかりした人間の魂だ。
最近の気が狂ったかのような、なおざりなゲームやジュブナイルのシナリオで黴びていた頭に陽が当たった気がする。
パトリシア・ライトソンの「ウィラン・サーガ」や、ル・グィンの「ゲド戦記」(初期3作)が好きな人は、試して損はないと思う。損されても知らないけど。


注1:「精霊の守り人」上橋菜穂子=作/二木真希子=絵
NDC913/偕成社ワンダーランド15/偕成社/326p.21cm/ISBN4-03-540150-1
注2:種切れ<-売れそうな本が、というより採算がとれそうな、と言うべきか。くーっ。


おもしろい作家に出会えれば、他の作品も読みたくなるのが人情だが、最近愛用している紀伊国屋書店BOOKWEBにオーダーしたところ、「月の森に、カミよ眠れ」「精霊の木」(ともに上橋菜穂子、偕成社)双方品切れ。シオシオです。創作児童文学というジャンル自体やばそうな感じ。元図書館野郎のオレはさみしいのだ!-99/06/11-


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