ムームー
人間風車

2002/06/25(火)
【バターはどこにいった】

今日は久しぶりに自炊できそうだったので、
スパゲッティーを作ることにした。
何味にするか?
料理になれてくると、どんどんシンプルな味、
シンプルな素材、シンプルな調理法へと興味が進んでいく。
スパゲッティーも例外でなく、
地中海風スパゲッティーみたいに、
最初はやたらいっぱい具を入れたり、
複雑なソースを作ったりするもんだけど、
最終的には、
ペペロンチーネ(ニンニクと唐辛子のスパゲッティー)
のようなシンプルな味に向かっていく。
今日は、気力体力ともに充実しているので、
ペペロンチーネよりさらに
シンプルなスパゲッティーをめざすことにした。
バターと塩のみのスパゲッティーである。
これをイイ味にするためには、いいスパゲッティー、
いい塩、いいバターが絶対条件となる。
また、湯で加減はもちろん、
ゆでる湯の塩分濃度
(「スパゲッティーは海水でゆでろ」
といわれるくらい濃い塩水でゆでる)、
それにバターの量、
最後に「歯触り」として加える塩の量とタイミング
(食べるとき、がりっと少し歯にあたるくらい
結晶が残っているべきである)が重要だ。
ちなみに、塩はフランスはゲランドの岩塩がボクのお気に入り。
さてそんなことで、幸い、
お気に入りの麺(デルヴェルデのリングィーネ)は
まだ買い置きがあったので、
切らしていたバターだけを買って帰ることにした。
本当なら、エシレバター、
国産ならカルピスバターとしたいところだが、
さすがに地元では手に入らないので、
今回は普通のバターで妥協することにした。
家に帰って、買い物を冷蔵庫に入れたりしていると、
廊下の先でシャーという音がする。
またしても、
うちのバカ猫が廊下の本棚に向かっておしっこをしているのだ。
(ちょっと天気が悪いとすぐこれだ)
うちの本棚はこういう事態に備えて、
いつも厳重にビニール袋で覆われているから
(それもどうかと思うが)、
本がおしっこで濡れる心配はない。
ただ、砂のない廊下をバリバリ掻いているバカ猫は
ただちに叱らなくてはいけないので
(リアルタイムで叱らないと効果がない)、
荷物をそこらにやったまま、
猫の首根っこを押さえつけて
「おしっこは外でといってるだろ」と説教する。
猫が反省したところで、
マイペットと大量のティッシュを取りに行って
「水たまり」に投入して、除去。
(汚い家の中で、廊下だけがいつもピカピカなのが悲しい)
気を取り直して、
テンション高くスパゲッティーを作ることにした。
十分に沸騰した鍋にひと握りの塩と
少々のオリーブオイルを入れる。
麺はゆですぎないように、なんどもなんども噛んで確かめる。
どんなにイイ麺でも、茹ですぎたり、茹でた後まごまごしていたら、
どうしようもない味になってしまう。
そろそろ茹で上がりというタイミングで、
隣のコンロでフライパンに火をかける。
茹でたスパゲッティーとゆで汁少々、
それにバターをさっと合わせ、
最後に塩を砕いて加えればできあがりだ。
ベストのタイミングで
茹で上がったスパゲッティーをさっとお湯切りして、
すぐにフライパンに移す。
ここですばやくバター投入!
と思ったが、バターがない。
そういやあ、どこに置いたのか思い出せない。
猫のそそうのおかげで、
帰ってきて食材をしまうまでの
過程の記憶が保存されていないのだ。
冷蔵庫の中にしまったかと思って見てみるがない。
買い物袋の中もない。
もう一度ドアを開けてから
台所に行くまでの過程をシミュレーションするが、
どうにも思い出せない。
っていうか、そうやたらのところに置くはずがない。
テーブルの上にも、コンロの上にも、まな板の上にもない。
床にも落ちていない。
あせる。
フライパンの中でスタンバイしているスパゲッティーの味メータが、
ぐんぐんと下がっていくのがわかる。
でも、どこにもない。
ああ、なんでちょい前のことが思い出せないのか、
思い出せないにしても、いったいどこに持っていくというんや。
とあせり、怒り、悲しみしたが、結局見つからなかった。
そんなわけで、その日のスパゲッティーは、
自分への罰として、
塩ゆで(だけ)の伸びたスパゲッティーとなった。
バターは今の時点でも見つかっていない。
バターはどこに行ったのか?
おそらく、そんなに日が経たないうちに、
彼の「ニオイ」がその場所を教えてくれることだろう。

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