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    『マッチ箱の脳』
    ー使える人工知能のお話ー
    新紀元社 定価2.200円(税別)

    ISBN4-88317-080-2 C3004 \2200E

      去年からチンタラ書いていました本がやっとまとまりました。
      なんとか、今世紀中に出せてホッとしています。

      ここ数年、ずっとAI(人工知能)に興味があって、
      それを半ば無理矢理ゲームに応用してきたりしてたんですが、
      そこらあたりの現場報告をした感じの本です。
      数学いらずの超文化系向けAI本です。

      イラストも全部自分で描きました。

    <本文「最初に」より抜粋>

     AIはArtificial Intelligenceの略で、日本語で言うと人工知能ということになります。
     AIや人工知能という言葉は、SF映画やコミックなどによく出てきますし、最近では、おもちゃ やゲーム、それにロボットの分野でもよく使われますから、言葉としては、すっかりおなじみになっていると思います。
     しかし、その知名度とは裏腹に、正体というのはあまり知られていないようです。映画や小説の中のAIは、宇宙船を操縦したり、人間の相手をしたり、ときには人間を征服してしまうような、人間に匹敵する、あるいはそれを超える人工の「頭脳」のようなイメージです。
     実際、ぼくもゲームで初めてAIを使おうと思ったとき、もし、我々が作る迷路すべてを、AI搭載のキャラクターがあっさりと解いてしまったり、逆に、彼らが我々が全く解けないような迷路を作ったらどうしようかなどと真剣に考えたものでした。
     しかし、残念ながら(?)現在のAIはそうしたレベルとはほど遠いものです。この現在の等身大のAIのイメージをなんとかお伝えしたいな、というのがこの本を書くきっかけとなりました


     現在、AIに関する解説書は山と出ています。しかし、私たち素人、特に文科系で数学が全然わからない人間にも理解できるようなAI本がないというのが現状です。
     このことは、ぼく自身が身をもって体験しました。ぼくは仕事でAIを使うために、AIモデルの数理的構造を詳しく説明する本や、AIの可能性や問題点を指摘する哲学的な内容の本、実に多種多様な本のお世話になりました。<br>  しかし、これらはAIについて研究している人のための本であって、「AIってなんなの?」という素朴な疑問に答えるものではないのです。
     文科系、数学が全然わからない人間にも理解できるようなAI本がない。
    これは一見、事実と反するように聞こえるかもしれません。なぜなら、数学が苦手な人向けに、数式を解説したAI本はたくさん出ているからです。これらの本は、数学が苦手な人にでも「理解できる」ように工夫されて書かれています。
     しかし「理解できないから読めないのだ」というのは、まさに、理科系的な発想で、実は、「読む気がしないから読まないのだ」というのが文科系魂なのです。
     理科系の発想で書かれたAI本の弱点は、ここにあります。たとえ理解できようとできまいと、読む気がしないなら意味がない。つまりいくら平易に数式を解説しようが、数式をなくしてしまおうが、文科系魂に読む気を起こしてもらえなければ意味がないのです。
     ということで、本書では、「文科系向けのAI本」ということを強く意識して書きました。なるべく、眠気を誘いそうな学術用語や数式を使うことを避け、わかる気にさせるイラストを多く入れ、「読む気」の維持に努めました。実際に体験できるシミュレーションも入れました。このため、一部確信犯的に、学術的には妥当とは言えない言葉や説明を使ったりしています。
     また、「木を見るより、まずは森を見てください」という願いを込めました。ですから、取り上げたテーマや、その扱いのバランスも、通常のAI本とはかなり違っています。ただ、これらの乱暴な手法を取ったおかげで、AI関連の本の中では、かなり読みやすく、森を見やすい本になっていると思います。


     それから、もう一つ。
    タイトルにもありますように、この本では、マッチ箱を使ったAIのシミュレーションを試みてみました。AIの面白さというのは、そのモデルが一生懸命学習しているその課程であったり、学習方法であったりすることが多いのですが、プログラミング技術のない人は、なかなか実際に体験することはできません。
     そこで、プログラムを書けない人にも、なんとかそのあたりの振る舞いを体感してもらおうと、非常に単純化したモデルではありますが、マッチ箱AIというのを考えてみました。ぜひ、これは実際に試していただきたいと思っています。


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